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浅田次郎「霞町物語」(書籍感想)

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当ブログ初となる書籍の感想です。

浅田次郎「霞町物語」

2000年11月15日
講談社文庫

紹介

青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。
そこが僕らの故郷、霞町だ。
あのころ僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていた。
浅田次郎が初めて書いた、著者自身の甘くせつなくほろ苦い生活。感動の連作短編集。

(背表紙より引用)

感想

個人的には中学受験のための勉強をしていた際に国語の題材文として使用されていたのがきっかけでこの小説、そして浅田次郎に初めて触れた。
受験勉強時は当然ながら切羽詰まっており本を読む余裕はなかったが、中学受験終了後に時間に余裕が生まれたので近所の本屋で初めて手に取った次第。

高度経済成長期の若者であり江戸っ子でもあった著者の自伝ともいえる短編8作から成り立っている。
全体を通して、便利なモノが増え不便な旧時代の産物が淘汰されていく中で例として挙げられた写真館(※主人公の祖父が営んでいた)やチンチン電車(※主人公の祖父の知り合いがその運転手を勤めていたという設定)など、当時の時代背景が色濃く反映された作品。

当たり前だが平成生まれの自分としては高度成長期の世相など知る由も無く、祖父母の体験談やテレビや歴史の教科書でその片鱗に触れることしかできないが、本作を読むと当時の賑わいや消えゆくモノへの切なさ、哀愁をそこはかとなく感じられると思う。
現在は存在しない地名である霞町を舞台に、著者の幼少期から輝かしい青春時代までを辿っていく構成(時系列はバラバラ)だが、どの短編作品も文句なしの傑作だ。
閉塞感漂う今の時代だからこそ、日本中が輝いていた “あの頃” を回想することで得られる感慨もあるのかなとも感じた。
個人的な思い入れの深さはもちろんのこと、それを差し引いても名作だなと。

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