もう9月…!?
今回は久しぶりの小説感想です。
諸事情により読書から離れて久しかったのですが、時間がたっぷりある夏休み期間を使っていろいろ読んでおきたいなと思いまして。
ひとまず “心温まる小説” と “歴史系統の書物” を1冊ずつ手に取ったのですが、今回取り上げるのは前者。
辻村深月さんの短編集『ロードムービー』です。
辻村さんの作品には今回初めて触れたのですが、いやこれは予想以上に胸を抉られます。
もちろんどの短編もバッドエンドではないし、読み終えた時にあたたかい気持ちになることは間違いないのですが、そこに至るまでの過程がリアルで生々しすぎる。
題材はどれも、小学生~大学生の若い登場人物たちが織り成す歪な人間模様。
子供同士の諍いに留まることなく、陰湿ないじめや親の離婚など、現代社会が抱える大問題が容赦なくぶっ込まれるので、正直重いです。
そうした諸問題って解決の糸口が見つかることのほうが珍しい気もするし、その辺りを上手いことスカッとする物語に昇華できているのは、フィクションだからこその展開なのかもしれません。
でもリアリティを重視するあまり、救いようのないバッドエンドに仕立ててしまったらそれは読んでいて辛いだけなので、ある種の “終わりよければ…” 的なベタなクライマックス、そして登場人物の“未来”を感じさせる締め括りは素晴らしいと思います。
でもあれはビックリしたな、表題作「ロードムービー」の主要人物「トシちゃん」がまさかの女子っていう(詳しくは手に取って読んでみてください)。
他の作品は読んでいてある程度予想通りな展開も多かったのですが、この意外性には一番やられましたね。
辻村作品の中心人物とその展開は、どうも失踪する傾向にあるようで(元々ミステリー畑の作家さんだから当然ですね)、表題作に限らずロードムービー的な壮大な情景描写がよく見られるのも良いですね。
少しばかり過剰だろうと大袈裟だろうと、否応なしにストーリーが盛り上がります。
子供の頃に経験したことや大切な思い出は、ふと思い出した時に今を生きる原動力になるのだ…というような全体を通してのメッセージ(ニュアンスが違っていたらすみません)にも共感。
文庫本の冒頭と終盤でこのように伝えられる著者の思いにグッときました。
あと、他の辻村作品との関連性も密接にあるようなので、いずれ他のエピソードも読んでみたいですね。
全体的にものすごく素敵な作品なので、皆さんも一度ご覧になられてください!


