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全曲感想! コブクロ『QUARTER CENTURY』

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追記
2024年9月5日、コブクロの公式ファンサイトのブログサービスに本記事をシェアしたところ、なんとメンバーの小渕健太郎さんがご覧になられ、真心のこもった素敵なコメントを頂戴しました。
改めて、人生最高の贈り物をありがとうございます。一生涯の誇りです。


ついにリリースとなりましたね!
コブクロ、3年振りとなる通算11作目のオリジナルアルバム『QUARTER CENTURY』

火曜日にフラゲしてからというもの、何周も繰り返し聴いておりますが…今作…

贔屓目無しに名盤

です。

ギターインスト集やベスト盤を挟んで久しぶりのオリジナルアルバムという感覚があったせいか、リリースが近づくにつれて自ずとハードルも上がっておりましたが、その期待を裏切らない快作…という印象でしょうか。

そう感じた根拠はここからたっぷりと語ってまいりますが、公式が謳う “自信作” という文言も納得の出来栄えです。

1曲1曲が入魂の力作…という要素は今までと変わらぬどころかますます精度が上がり、ここ数作と比べても出色の名曲が揃っている。
これ、さらっと書きましたが当たり前のことではないと思うんですよ。
たとえばポール・マッカートニーがワールドツアーを展開したとして、どんなに新作に手応えがあっても多くの人に望まれるのはビートルズ時代のナンバーだと考えると尚更。
現役ミュージシャンたるもの、活動のキーとなるのはやはり “新曲” です。

…と中身のない能書きを垂れてしまう悪い癖はここらで封印しておいて、もうちょい客観的な話を。


今作は収録内容の傾向がここ数作から変化しており、大きく分けて以下の2つとなります。

① 曲数と収録時間のスリム化
② コブクロ以外の人物が複数作の編曲に関与

1つずつ解説していきましょう。

① 曲数と収録時間のスリム化

アルバムの詳細が発表された時に真っ先に驚いたのが、全12曲というやや少なめにも思える曲数でした。
活動休止前までのオリジナルアルバムでは概ね12〜13曲程度だったのが、再始動後の『One Song From Two Hearts』から全15トラックに増えたので、ここ10年ほどはかなりボリューミーな内容が続いていたわけです。
コブクロの場合、他のアーティストよりも1曲あたりの尺も長い傾向にあったのでトータルでの超大作感が顕著でした。

ところがですよ!
今作には6分を越える長尺の楽曲が1つも無く、総収録時間も1時間未満(56分)とかなりコンパクトにまとまりました。
これは3rdアルバム『STRAIGHT』以来…、すなわちセルフプロデュースに移行してからは最も尺の短いアルバムに仕上がったんです。
これがプラスに作用したことで、久しぶりに聴きやすいアルバムだなと感じた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

② コブクロ以外の人物が複数作の編曲に関与

今作も従来通りのセルフプロデュース体制ですが、ブックレットをよく見てみると編曲クレジットに変化が。

『Produce & Arrangement : KOBUKURO』と大きく表示していながらも、
「Soul to Soul」では『Produced by Tomoyasu Hotei』、
「Blame It On The Love Song」は『Arrangement by 小渕健太郎、笹路正徳』、
「ベテルギウス -Over the GLORY DAYS-」「Moon Light Party!!」は『Arrangement by 山口寛雄』
という例外が記されているのです。

「NO PAIN, NO GAIN feat. 布袋寅泰」など過去にも例外は稀にありましたが、セルフプロデュース移行後のコブクロのオリジナル曲は基本的に管弦以外の全てのアレンジを自らで完結させる手法を取っていたため、これは新鮮な並びに感じられます。
もっとも、親交の深い布袋さん、元プロデューサーの笹路さん、現バンドメンバーの寛雄さん…という見慣れた顔触れではあるため、意欲的に外部のアレンジャーを招いても面白いサウンドプロダクションになるのではないかと思ったりもしますけどね。


以上のような大きな変化が新鮮さをもたらしたこともあるのか、久しぶりに “作品集” ではなく “オリジナルアルバム” としての聴き応えを感じさせる1枚になったなと。

既出シングル曲が多く全体のコンセプトも些かふわっとしていた前作『Star Made』に比べると、一定の統一感もあるように思えますし、曲順もよく練られていてスムーズに聴き通すことができます。
「Days」や「Soul to Soul」なんて前作の制作時から存在しているのに、何ら違和感なく今作の流れに溶け込んでいますよね。

全体的にバンドサウンドの躍動感が強調されているのも特筆すべきポイントで、王道的なバラードよりも突き抜けてアッパーな楽曲が多くみられるところに25周年のその先への意欲が満ちていてグッときますね。

個人的に2011年の活動休止までの作品群が自分の中でのスタンダードになりすぎたところがあって、再始動後のアルバムをリアルタイムで聴いても “過去を超える” とまではならなかったのですが、今回の『QUARTER CENTURY』では未だ衰えぬコブクロの凄さをひしひしと実感できました!

黒田さんの単独作曲は今回も無く、メインライターの小渕さんにおいてもかつてのようにどんどん曲が溢れてくるような感じではなさそうですが、過去に負けない1曲入魂のスタイルで抜群の完成度を誇るアルバムが生まれましたね…!
私見にはなりますが、2010年代以降ではダントツの名盤といえるでしょう。

それではお待ちかね、1曲ごとの感想にまいりましょう!


目次

全曲感想

1. RAISE THE ANCHOR

MVも制作された今作のリードトラック。
公式には “25th Anniversary Song” と銘打たれています。
力強いロックサウンドに乗せて四半世紀の軌跡を高らかに歌い上げる、会心のニューアンセムです。
ColdplayやU2を思わせるシンセの音色も印象的ですが、敢えてストリングスを入れずにガツンとしたバンド感を強調するというディレクションが見事。
10周年の「時の足音」や20周年の「晴々」のような感謝祭的な方向性とは異なり、旅の通過点を思わせるハングリーなマインドがとても頼もしいですね。
結成から25年を経てもまだこんなに瑞々しい名曲を作れるのか…と感服するほかありません。

2. エンベロープ

35thシングル。
コブクロらしい盤石のストリングスバラード。
シングル曲における自信作をアルバムの2トラック目に配置する、という近年の傾向に沿った形でしょうか。
極めて個人的な事情から長らく聴くのが辛い曲だったのですが、そんな歌詞の印象ゆえかファンの間でメロディーやサウンドについて語られているのをあまり見たことがないんですよね…。
今作の中では最もコブクロのパブリックイメージに沿った楽曲だと思います。

3. Mr.GLORY

古い欧米のポップスを思わせるスウィング感が特徴的なアップテンポ。
この胸が弾むような高揚感は、Wizzardの名曲「I Wish It Could Be Christmas Everyday」がどうしても脳裏をよぎります。
この曲で叩いている渡嘉敷祐一さんのドラムはとりわけ躍動感に満ちていて若々しい音だなぁ、と惚れ惚れします。
あとこの曲は2022年の暮れに初めてライブで聴いた時に、

    《365日 いつも誰かのペースに合わせて頑張っちゃうと
    どの自分が本物かわからない!?
    嫌なものは嫌だと
    たまにはガツンと言ってやればいいさ
    そんな君をずっと待ってる人がいる》

    という2番A,Bメロの歌詞がとても刺さり、中2から大学時代にまで波及した長きにわたる心身の不調を脱するきっかけになったんです。
    もはや人生訓ですよね。
    僕の中に潜むポジティブな自分が見事に覚醒し、おかげさまで一定の健康を取り戻すことができました…
    そんな感謝とともにある底知れぬ思い入れを加味すると、今作のベストトラックはこの曲かもしれません

    4. Soul to Soul (布袋寅泰 feat.コブクロ)

    2020年11月25日リリースの布袋寅泰氏のアルバム表題曲をコブクロサイドにて初収録。
    従来のコブクロには無いアメリカンな装いのブラスロックで、個人的には初期のChicagoを思い出しました。
    布袋さんによる楽曲のテイストに呼応し、どこまでもソウルフルに歌い上げる黒田さんのボーカルワークが新境地で素晴らしすぎます。
    アルバムの流れで聴いたことによって、前作『Star Made』ではなく、満を持して今作に収録された理由が分かった気がしました。

    5. Blame It On The Love Song

    Jacksons「Blame It On the Boogie」を彷彿とさせるタイトルを初めて見た際に、これはブラックミュージック通の黒田さんによるものなのかと思ってしまいましたが、バッチリ小渕曲でしたね笑
    編曲に笹路正徳氏が名を連ねており、グループサウンズの香りが漂うノスタルジックなポップスです。
    イントロはザ・ワイルドワンズ「想い出の渚」を思い起こさせる仕上がり。
    全編に渡って福原さんによる12弦ギターの音色が印象的で、このビートルズフレーバーが何とも笹路さんらしいアレンジで素敵ですね。
    《恋煩いは「幻滅」以外 治せない》という歌詞にはいたく共感するとともに、「君色」からの年月を感じました…笑

    6. 雨

    Eaglesの名曲「Desperado」を彷彿とさせるカントリーテイストのバラード。
    全体的にメロディーや編曲に渋味があり、年齢を重ねた今のコブクロが歌うに相応しい貫禄を携えた1曲ですね。
    亡き人に思いを馳せる歌詞の切なさに胸が張り裂けそうになりますが、意外とテンポ感のある曲調との取り合わせが絶妙で、テーマ性の割には重たくなりすぎていない印象を受けます。
    冒頭、雨音を演出するラムジーさんのパーカッションが効果的でこういう細やかなアレンジにグッとくるんですよね。

    7. 足跡

    前曲からの流れ…泣かせるじゃないですか。
    小渕さんの飼っていた愛犬へのレクイエム。
    大切な存在を失う喪失感はこちらのほうがよりリアルに描写されており、そう気軽に聴ける曲ではないんですが、だからこそリスナーの胸を打つ名曲だと思います。
    《会えなくなるのは この世界だけ》という表現がとても小渕さんらしくて、悲しみや困難と対峙しても前を向いていたいなと強く思わされます。
    さらに、この曲での黒田さんのボーカルテイクがあまりに良すぎて打ち震えます…

    8. ベテルギウス -Over the GLORY DAYS-

    16thシングル『時の足音』C/Wのリメイク。
    サポートベーシストの寛雄さんがリアレンジを手掛けました。
    やや間延びしがちな感覚もあったオリジナルから見事に生まれ変わり、ソリッドで激しいバンドサウンドが炸裂しています。
    コブクロ全史においてここまでノイジーなサウンドメイキングは滅多に無く、他には「LOVER’S SURF」くらいでしょうか?
    寛雄・渡嘉敷コンビによるリズム隊の響きもゾクゾクしますね。
    緊張感と楽しさが共存するようなバンドレコーディングが容易に想像でき、とても痛快です。
    一際ハードなギタープレイを魅せる福原さんが昨年のツアーパンフレットで語った “北欧っぽい” アレンジの印象とは、スウェーデンのメタルバンド・Europeのことを指しているのでしょうか。
    ベテルギウスに因んで星の生まれ変わりというか、輪廻転生を思わせるアルバムの流れになっているのも鳥肌モノです。

    9. 雨粒と花火

    ここ数年のライブでは毎回のように演奏され好評を博していた名曲の初音源化。
    アルバムリリースに先行してYouTubeで公開されたMVは180万回再生(2025.02.03現在)を突破しており、久しぶりに世間において話題沸騰中なのも嬉しいですね。
    THE ALFEE、アリス、チャゲ&飛鳥、加山雄三などといった邦楽界の偉大なる先人達の姿が浮かんでくるようなオリエンタル歌謡ロック。
    バイオリンの漆原さんによるストリングスアレンジの切れ味も鋭く、ボーカルもバンドもハイテンションで最高にアガりますし、何よりもキャッチーなメロディーが素晴らしいです。
    「Mr.GLORY」のイントロ然り、この曲のAメロもそうですが、アッパーな曲におけるよっしーさんのピアノの存在感もまた素敵だなと思いました。
    この手のレトロな曲調は時流を捉えていると思いますし、コブクロのバラード以外の側面という点でもどんどん広まっていってほしい曲ですね。

    10. Moon Light Party!!

    インディーズ3rdアルバム『ANSWER』収録曲のリメイク。
    70’sディスコテイストのオリジナルとは趣向を変え、寛雄さんの手で陽気なスカ調にリアレンジされているのですが、これがまた盛り上がるんですよ。
    バンドメンバーによる “HEY!” の掛け声、小渕校長の煽りなど、ライブの楽しさが詰まったテイクに笑みがこぼれます。
    今後もツアーにて定番化しそうな勢いを感じますね!

    11. Days

    配信シングル。
    前作『Star Made』のデッドストック。
    2019年に訪れたというNYの夕景をモチーフにした、雄大なメロディーが印象的なバラードです。
    サウンドの随所にビートルズ「Strawberry Fields Forever」が見え隠れする気がするのですが、ジョン・レノンが大好きな小渕さんのことですから狙ったのかもしれません。
    同曲では《Living is easy with eyes closed》(“瞳を閉じていれば生きるのは気楽さ”)と歌われていますが、この「Days」のフレーズ《生きてる自由を感じる事で良い》との対比が興味深いなとも感じました。
    コロナ禍の日々を経て生きることに向き合った歌詞に胸を打たれます…「灯ル祈リ」の頃を考えると前進したなと。

    12. この地球の続きを

    2025年大阪・関西万博オフィシャルテーマソングに起用された34thシングル。
    アルバムを締め括るは、未来への希望に満ちたレトロ・フューチャー的ポップナンバーです。
    最高の余韻とともにこのままアルバムを何周もしたくなるコンパクトな曲構成が見事で、後味がとても良いですね。
    改めまして、素晴らしいアルバムをありがとうございます!


      というわけで、アルバム全体の解説に加えて全12曲分の感想を語ってまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
      ストリーミング全盛の時代にCDを買ってアルバムを曲順通り聴き、ブックレットを熟読しパッケージを部屋に飾る…こうした一連の流れがとても幸せだなとつくづく思います。
      そんな環境下で最高のアルバムに向き合えたことが感慨深いですし、次は一体どんな作品が生まれるのでしょうか?
      これからのコブクロの活動もますます楽しみです!

      とりとめのない長文となりましたが、ここまでご覧くださいましてありがとうございました!

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