先日、新型コロナワクチンの2回目接種を無事に終え、副反応として長引く発熱と格闘しておりましたが…感染のリスクがグッと下がりそうだということで少しばかりホッとしております。
さて、8/18にリリースとなりましたOfficial髭男dismのニューアルバム『Editorial』。
まだ初回盤付属のBlu-rayだけ見ていないのですが、アルバムは既に何周もリピートしていてだいぶ1曲1曲の印象も固まってきたので、ここらで全曲感想でも書いておこうかなと。
いやしかし、今回も名盤ですよ。
ヒット曲然としたキャッチーな楽曲は既出の6曲に留まり、初出の新曲はどれも比較的地味で暗めのトーンに統一されている印象があるので、最初に聴いた段階ではいまひとつピンとこない部分もありました。
でもそこから何度も聴いていくにつれて1曲1曲の良さをグッと感じられるようになり、みるみるハマっていったので想像以上にスルメ的な魅力のあるアルバムだなという感想が浮かんできました。
ハマればとことんハマる。
前作『Traveler』の系譜を引く既出6曲はともかく、アルバム初出の新曲は歌詞にせよサウンドにせよ内省的で暗めなイメージを聴き手に持たせ、それこそ「Pretender」や「115万キロのフィルム」といった代表曲のような分かりやすいキャッチーさを求めるリスナーからすると少し取っつきにくい部分もあるのかなと思います。
逆に、もうちょいマニアックな曲も多くやっていたインディーズの頃を知るファンにしてみればそんなに違和感はないのかなと。
今作の感想でよく引き合いに出されているMr.Childrenの『深海』ほど退廃的な世界観ではないものの、売れっ子ミュージシャンになって環境の変化があったり、新型コロナで変わり果てた世の中を目の当たりにしたことで藤原さんのソングライティングは少し内なる部分へと潜り込んでいる印象を受けます。
同じところに留まらないバンドの進化を追っていくのは楽しいね。
とは言いつつもそんなに棘があるわけでもなく、サウンドも歌詞も全体的には優しめ。
聴けば聴くほどにじんわりと沁みてくるアルバムですね。
それでは全曲感想、いってみよう!
全曲感想
1. Editorial
アルバムタイトル曲。
厚みのあるエフェクトが掛かった藤原さんのボーカルのみで構成されたまさかのアカペラ。
サザンの「忘れられたBig Wave」や山下達郎の『ON THE STREET CORNER』シリーズなどのドゥーワップを真っ先に連想しましたが、この曲ではもっと切実に歌詞のメッセージ性が迫ってくるような情感溢れる仕上がり。
初めて聴いた時よりも2,3周目の方がグッときて胸に迫るものがありました。
2. アポトーシス
今作のリードトラック。
「115万キロのフィルム」「イエスタデイ」といったかつてのアルバムリード曲に比べると幾分か地味ですが、これがめちゃくちゃ刺さる。
タイトルは医学用語で「細胞の自然死」を意味し、人生の終わりを見据えた歌詞は一般人レベルでも命に向き合う機会が増えたこの時代だからこそ響くものがあります。
アルバム全体の内省的な世界観を象徴する、紛う事なき名曲。
3. I LOVE…
ドラマ主題歌として大ヒットした4thシングル。
やっぱりこの曲はいいですわな。
ラブソングの歌詞には基本的にあまり共感することはないのですが、一級品のメロディーと凝ったサウンドだけでも充分すぎるほどの満足感を味わえます。
4. フィラメント
ドラムスのちゃんまつ氏が初めてソングライティングを手掛けた1曲(藤原さんとの共作)。
これがまた素晴らしい1曲!
メロディーも良いし、U2を彷彿とさせるような淡々としつつも熱さを秘めたアレンジも素敵です。
ちゃんまつ氏、ぜひこれからも作曲に携わってほしい…!
5. HELLO
3rd EP『HELLO EP』メイン曲。
新型コロナで閉塞感に満ちた世の中を思い切り晴らしてくれるかのようなパワーポップ。
エレキギター、ドラム、ベースといった各楽器がどれも主役のように力強く鳴り響いていて、ただの “ピアノPOPバンド” ではない “ロックバンド” としての一面を存分に魅せてくれた名曲です。
6. Cry Baby
配信シングル。
これまたバンドサウンドの攻撃性が表れた力強いロックナンバー。
前作でいう「FIRE GROUND」並に大輔さんのエレキギターがグイグイと曲を引っ張っていますが、転調の多さも半端ではなく、高音連発の藤原さんのボーカルワークも神懸かっています。
“全力” という言葉がこの曲の特徴を最もよく表すのではないかと思います。
7. Shower
ハイテンションな曲が続いた後、メロウなナンバーで一旦クールダウン。
割と淡々としていて地味目ですが、ホッとできるラブソングですね。
基本的にはアコースティックな音像ですが、途中でほんの僅かにバンドサウンドが激しめになる瞬間があるのが鳥肌モノ。
8. みどりの雨避け
前作収録の「旅は道連れ」に続いて楢﨑さんが作詞/作曲を手掛けたナンバー。
アルバム初出の新曲ではこれが一番好き!
どことなく60~70’sの洋楽ポップスっぽいピースフル感やお洒落さがありますね。
サウンド面ではB.J.トーマス「Raindrops Keep Fallin′ on My Head」を思い出しましたが、ジョニ・ミッチェルっぽいという感想もあればサイモン&ガーファンクルを彷彿とさせると書いている人もいて、いずれにせよ “あの頃” のオールドポップスが聴くたびに浮かんでくる感覚です。
「旅は道連れ」に続き、素朴でほのぼのとした作曲家・楢﨑誠の魅力が詰まった良作です。
9. パラボラ
配信シングル、3rdEP『HELLO EP』収録曲。
シンセサウンドを押し出したキャッチーなポップナンバー。
もう…この曲を聴くと泣けてきて仕方がない。
最初の緊急事態宣言下、慣れないオンライン授業…苦しかった記憶も多いけれど、《まだ遠くて 不確かで ぼやけてる理想像も 追い越すような軌跡を描いていけるよ》。
今も地続きな状況ながらあの頃の空気感がよみがえるけれど、いつしかすべてが良い思い出になるといいな。
10. ペンディング・マシーン
ここまでの流れを大きく変えるダンサブルな楽曲。
これぞヒゲダン!というべきファンキーさを持ったナンバーですが、パーソナルな苦悩が一番分かりやすく歌詞に表れたのはこの曲かな。
とはいえノリのいい曲調なので、勢いで聴けてしまいます。
これは最初に聴いた段階から好きな曲でした!
11. Bedroom Talk
前作収録の「Rowan」に続く、ギターヒーロー大輔さんの作詞作曲。
ギタリストなのでもっとガツンとしたロックな曲が来るのかと思いきや、意外にもムーディーな曲調です。
このレイドバック感がたまりません!
12. Laughter
配信シングル、3rdEP『HELLO EP』収録曲。
エレキギターのリフがMr.Children「終わりなき旅」を思わせる、J-POPの王道を往くようなメロディアスなロックバラード。
雄大さを感じさせるストリングスも目立ち、ヒット性も抜群な名曲ですね。
13. Universe
5thシングル。
映画『ドラえもん』の主題歌になり、TVアニメにもOfficial髭男dismがゲスト出演&声優初挑戦(しずかちゃんが大ファンという設定)。
ヒゲダンのルーツであるスティーヴィー・ワンダーなどのブラックミュージックの要素を押し出し、抜群のグルーヴ感を聴かせてくれる名曲。
ドラえもんを思わせるフレーズが並ぶ歌詞もそうですが、とにかく聴いていて楽しいです。
14. Lost In My Room
アルバム最終曲。
しっとりとしたメロウな曲ですが、サビでの高音連発がすごすぎる。
どうやったらこんな声が出るんだ…
これも藤原さんのパーソナルな心情が投影された楽曲なのでしょうか。
この曲を聴き終えるとまた1曲目の「Editorial」に戻ってもう一周したくなります笑
というわけでアルバム全14曲、簡潔ではありますが語ってまいりました!
冒頭でも述べましたが、今作はとにかく何回も聴いて良さがどんどん見え、気付かぬうちにクセになるようなアルバムに感じられたので、これからも聴き込むことで新たな発見が次々とあるかもしれません。
まだまだ進化し続けるヒゲダン、次回作も楽しみです!
ここまでご覧いただきありがとうございました!


