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全曲感想! Mr.Children『産声』

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どうもこんにちは、やたろです。
今回の記事は久しぶりのニューアルバム全曲感想!

先日リリースされたMr.Childrenの22ndアルバム『産声』を徹底的に掘り下げてまいります!

前作『miss you』から2年半振りと思ったよりも短いスパンでリリースされた印象がありますが、実際に2024年の全国ツアー『miss you arena tour』開催期間からデモテープ制作が始まっていたようですね。

プロデュースはMr.Children単独名義となっており、編曲も全て自身によるもの。
このためか、2024年に発表された配信シングル「記憶の旅人」「in the pocket」はいずれも未収録となりました。
ただし管/弦編曲に山本拓夫四家卯大といった馴染みのミュージシャンを招いているほか、かつて制作に関わった小林武史世武裕子も本作収録曲の演奏に参加しています。

ということでまずは全体的な感想ですが…

アコースティックな上にバンド感を極限まで削ぎ落としたシンプルな音像の前作『miss you』と比較すると、圧倒的にカラフルでポップな印象を抱かせるアルバムです。

山本拓夫氏によるブラスサウンドが目立ち、生楽器の豊潤なアンサンブルが心地よいのも大きな特徴ですね。
この点は初期3作や『HOME』辺りを彷彿とさせる感覚ですが、それらと比べても遥かにガッシリとした耳触り。

あくまでもメンバーの奏でるバンドサウンドが軸となっていて、随所でギターソロが聴かれたり、4人のみで演奏した楽曲がいくつか存在することからも本作の強固な音作りが見て取れます。
田原さんに至っては管編曲に携わるばかりか、プロデューサー的な役回りでアルバム制作を進行するほどのキーマンとなっており、メンバー主体でMr.Childrenを動かしていこうという気概が存分に感じられて素晴らしいです!

桜井さんによる楽曲自体も衰えを知らない充実ぶりですが、純粋なメロディーのキャッチーさでいえば意外と前作に軍配が上がるところはあるかもしれません。
その分、本作での凝った曲展開やサウンドメイキングは聴き応えに溢れていて、どれもリピートするほどに味わいが増す名曲揃いといえます。

歌詞については相変わらず仄暗い感触というか、50代半ばとなった等身大の桜井和寿が投影されていてポジティブ一直線ではありませんが、今までも前向きな言葉ばかりを並べ立てる作風ではなかったので極めてミスチルらしい世界観。

また、前作ごろから格段に安定感を増したボーカルワークは本作にてますます高みに達しています。
これまで以上にファルセットを多用していたりもしますが、その声質は特有の癖が抜けて力みが無く、聴き手の耳へとダイレクトに染み込んでいくような心地よさがありますね。

本作も単なる楽曲の集合体ではなく、“オリジナルアルバム” という一つの作品としてパッケージごと堪能できるのが嬉しいです。
音楽をCDで曲順通りに聴くという楽しみ方は、これからもどうか廃れずに残っていってほしいですね。

それでは、大まかな雑感はここまでにして各楽曲の感想へとまいりましょう!

目次

1. キングスネークの憂鬱

オープニングを飾るは、「言わせてみてぇもんだ」「I」「DANCING SHOES」辺りを彷彿とさせるシニカルなロックチューン。
パンチの効いた打ち込み中心の平メロを経て、サビで一気に爆発してシンガロングを煽ります。
コーラスパートの高揚感は明らかにライブを想定したアンセム的な仕上がりで、ボン・ジョヴィをイメージして作られたというのも頷けますね。
こういう一癖あるダークなナンバーがトップバッターというのも極めてミスチルらしくて、一気にアルバムの世界観へ引き込まれます。

2. Again

配信シングル。日曜劇場『リブート』主題歌。
年明けにリリースされた段階では、一定のキャッチーさやサビの盛り上がり、音数の多いバンドアレンジなどミスチルらしさが戻ってきた1曲…という印象を抱き、『miss you』期の深い闇からはひとまず抜け出したのかなと感じました。
それでも単独で聴いただけではややピンとこないところもあったものの、本アルバムにて「キングスネークの憂鬱」からの流れで聴くとその名曲ぶりに圧倒されます
久しぶりに参加した小林さんによる不穏なピアノイントロからゾクゾクしますし、2分を過ぎてようやく登場するサビのカタルシスといったらもう。
アルバムの中でシングルカットするならやはりこの曲だな、と感じられるだけのパワーに満ちていると思います。

3. Saturday

配信シングル。
骨太なバンドサウンドと華やかなブラスセクションが絡み合うソフトロック。
1st〜4thアルバムにはこの手の曲調が必ず入っていたので懐かしい気分にもなりますが、当時のレパートリーよりも大胆な転調が取り入れられていたりと、ポップなだけでは終わらないフックの強さが耳に残ります。
この辺り、Chicago「Saturday in the Park」をオマージュした曲構成となっているので往年のアメリカンポップス好きにはたまらないです!

4. ウスバカゲロウ

小林さんがピアノとオルガンの演奏に参加した穏やかなバラードナンバー。
Mr.Childrenの十八番というべき切ないメロディーが展開する名曲で、別れをテーマにした歌詞も相まって「くるみ」の進化系のようなイメージもあります。
とはいえ過去曲のどれに似ているということもなく、個人的には浜田省吾のバラードを聴いた際に残る余韻に近いものを感じました。
この手の曲調にしては比較的シンプルなバンド演奏にも味わいがありますが、儚げな楽曲の世界観に温もりを添えるオルガンの音色はこれぞ小林武史という貫禄です。

5. Glastonbury

跳ねるようなリズムが印象的なUKテイストのロックナンバー。
個人的には執筆時点で本アルバムにおいて最も好きな曲です!
前曲の柔らかな余韻に浸る間もなく、イントロのアコギのカッティングに意表を突かれるこの緩急がたまりません。
イギリスの野外音楽フェスティバル『Glastonbury Festival』を題材に、YouTubeにもアップロードされている2002年のColdplayのパフォーマンスが描写されています。
その映像は私も視聴しましたが、確かにクリス・マーティンの歌声は絶好調でカリスマ性が尋常ではないです笑
その輝かしいステージングとの対比で、満たされない自身の現状を歌詞に落とし込んだキレッキレの桜井節も炸裂しています。
2002年というと、デビュー10周年の節目に桜井さんの急病で一時休養せざるを得なかったバンドの姿がよぎり、いろいろと考えさせられました…。
バンドグルーヴとブラスセクションが巧みに融合したサウンドもひたすらに気持ちよく、これはライブが楽しみになる名曲ですね。

6. 禁断の実

やや幻想的な聴感が不思議さを漂わせる、ネオアコ風味のナンバー。
R.E.M.「Losing My Religion」を思い起こさせる曲調でもありますね。
間奏ではなんと桜井さんがソプラノサクソフォーンのソロを披露(!)しており、マルチプレイヤーとしての彼の才能が遺憾なく発揮されています。
後ほど登場する表題曲「産声」もそうですが、不規則なテンポ感からはそこはかとなくプログレの匂いが漂いますね。
この辺りは桜井さんが愛聴しているというアラン・パーソンズ・プロジェクトなどの影響も少なからずありそうな気がします。

7. 平熱

「ウスバカゲロウ」をよりシンプルに纏め上げたような静謐なバラード。
主旋律やストリングスのラインがさりげなくも上質で、親交のあったKANさんの姿が不意に浮かんできます。
かつてのヒットチューンのような派手なアレンジではないものの、桜井さんの熱いボーカルにしても従来のミスチルらしさが見える楽曲かなと思います。

8. 空也上人

ここまでの空気をガラッと変える、アッパーなファンクチューン。
メンバー4人のみでレコーディングされたようで、セルフプロデュース以降のMr.Childrenらしい力強いグルーヴを堪能できます。
フュージョンのエッセンスを感じさせる中川さんのベースラインも出色のテイクで、鈴木さんの躍動するドラムとの相性も抜群。
平メロが起伏のない旋律なので、メロディアスなサビで一気に弾ける清涼感がやはりこの曲の聴きどころでしょうか。

9. Stupid hero

前曲からの流れを汲む高揚感のあるロックナンバー。
割とコンパクトな佇まいで、サビメロもあっさりとしていて一気に駆け抜けていきます。
近いテンポ感の「空也上人」「Nowhere Man」に挟まれると、どうにも地味な存在感になってしまうのは仕方ないですがこちらもいい曲。

10. Nowhere Man 〜喝采が聞こえる

デヴィッド・リー・ロス「Just Like Paradise」を彷彿とさせる、どこまでもキラキラとしたアップテンポ。
タイトルの由来はもちろんビートルズですし、エルヴィス・コステロっぽい要素もあり、こういう方向性の楽曲に外れはありませんね。
過去曲でいう「FIGHT CLUB」に近い曲調からもファン人気が高まりそうなポテンシャルを携えていて、ライブでの盛り上がりが目に浮かぶようです。

11. 産声

先行配信もなされた本作のタイトルトラック。
久々の世武さんによるクラシカルなピアノの調べ、そこからファンファーレのようなブラスが響き渡るイントロで一気に心を掴まれます。
プログレのような曲展開は一筋縄ではいかない複雑さもありますが、一聴して耳に残る高らかなメロディーラインが素晴らしく、これぞ表題曲という風格がありますね。
次の世代へバトンを託すかのような歌詞も印象深く、《今日を生きてるってこと それだけで奇跡なんだろう》というフレーズが力強く響き渡ります。
同日に配信リリースされた嵐の「Five」と近しいメッセージ性を感じるところもあり、両曲を並べて聴いてみるとなんだか胸に迫るものがありました…。

12. Umbrella

アッパーな曲が続いた流れをクールダウンさせるミディアムナンバー。
ここまでだいぶ派手な曲が続いたので、ラスト2曲の存在感が些か地味な部分も否めませんが、じっくりと浸るほどに良さが見えてくる佳作です。

13. 家族

アルバムの最後を飾るはUKテイストのフォークロック。
こちらもメンバー4人だけで演奏され、シンプルなバンドサウンドにいぶし銀のような深みがありますが、本作においては前作寄りのモノトーンな色合いを持った楽曲に感じられます。
実際に『miss you』のデッドストックと公言されているものの、仮にそちらに収録されていたとしてもかなり渋い
このようにファーストインプレッションでは地味な感じがしていても、聴き込むほどにハマる可能性は大いにあります。
全体を通して、とても満足度の高い名盤でした!

というわけで、アルバムの概要と全13曲の感想を語ってまいりましたが、いかがでしたか?
この文章を通じて『産声』の魅力が多くのリスナーに伝わることを願い、本記事の締め括りとさせていただきます。
今回もここまでご覧くださり、ありがとうございました!

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