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全曲感想! サザンオールスターズ『THANK YOU SO MUCH』

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どうもこんにちは、やたろです。
リリースから少し経ってしまいましたが、今回の記事ではサザンオールスターズの16thアルバム『THANK YOU SO MUCH』について語っていきます!

前作『葡萄』から10年振り、桑田佳祐ソロを含めても2017年の『がらくた』から7年半振りのオリジナルアルバムとなりますが…

もう、めちゃくちゃ良いじゃないですか!

率直に過去の名作群と比べても引けを取らない出来栄えといいますか、現役SSWとしての桑田さんの凄味は今作でも健在で感動しましたね。

多種多様な音楽性を普遍的で親しみやすいJ-POPとしてアウトプットする才能は相変わらず卓越していて、さらに『がらくた』にて顕著となったサウンドプロダクションの軽やかさにますます磨きがかかったことでオリジナルアルバムとしての聴きやすさも向上。

ことスタジオアルバムにおいて、『キラーストリート』以降は国民的プロジェクトゆえの重みが拭いきれない作風が続いていましたが、打ち込み中心のデスクトップミュージックに舵を切ったことで相当に肩の力の抜けたコンパクトな内容が実現しました。

一方で楽曲自体やアルバムトータルのクオリティの高さに反し、メンバー全員によるサザンならではのバンドサウンドを楽しめる曲はごく一部に留まり、ほぼ桑田ソロの音像である点に限り少々残念でしたが(個人的には “がらくた2” と呼びたいですね)、いちポップスアルバムとしては文句なしの好盤といえます。

今までにリアルタイムでサザン・桑田作品を聴いてきて、これほど繰り返し延々とリピートしたくなる新譜は初めてでした…!
細かい理屈を抜きにしても、待ちに待った甲斐のある名盤です。

それでは、全曲感想へまいりましょう!

目次

全曲感想

1. 恋のブギウギナイト

配信シングル。
アルバム1曲目にこの手のディスコナンバーを配するところが前作『葡萄』での「アロエ」と似通っているなと感じます。
ただし、サブリナ・カーペンターやデュア・リパといった近年の洋楽シーンに接近したEDMテイストのサウンドはより現代的な印象を与えます。
個人的には配信で先行して耳にした時よりも、アルバムの流れで聴くことによって明確に好きな曲になりましたね。

2. ジャンヌ・ダルクによろしく

配信シングル。
桑田さんのスライドギターが炸裂し、弘さんの芯の太いドラミングと原さんの強いピアノタッチが存在感を放つ痛快なナンバー。
結果的にこの手のロックチューンは他には皆無といっていいほど全体を通してポップ色の強いアルバムとなりましたが、だからこそこの曲のキャラクターが際立ちますね。
バンドの原点といえるアメリカ南部的なバンドサウンドが素敵…と書こうとしたら関口さんと毛ガニさんはレコーディング不参加というのがなんだかなとは思いますが、今回はそういうアルバムです。
今を生きなきゃ勿体ない 二度や三度のミスなど怖くない》という歌詞には私も勇気をいただきまして、パリ五輪の民放テーマ曲に相応しい風格を感じたことはもちろん、不安だらけの就職活動において大きな励みになりました。

3. 桜、ひらり

配信シングル。
実直な歌詞と美しいメロディーラインが涙を誘う、AORテイストのミディアムバラード。
印象的なキーボードのリフはChicago「If You Leave Me Now」を意識していそうな旋律です。
“桜” に託された桑田さんの北陸復興への想いが痛いほどに伝わってきて、何回聴いても泣きそうになります…
文脈から “You are coming” との空耳でもしっくりくる《柳暗花明》というフレーズは、近年の桑田作品の中でも指折りで印象深い言葉選びです。

4. 暮れゆく街のふたり

今アルバム唯一の歌謡枠(?)
ここ7~8年ほどは歌謡テイストのナンバーも減少傾向にあり、再び洋楽のルーツを下敷きにしたポップスが増えてきたため、かえって新鮮な聴感でアルバムの流れでこそ映えますね。
浅川マキさん辺りを思わせる曲調も、桑田さんのいう “読み物” の如く文学性の強い歌詞にも味わいがありますし、何となくですが前作『葡萄』のカラーを受け継いだ楽曲という印象があります。

5. 盆ギリ恋歌

配信シングルですが、ミックスを大きく変更したアルバムバージョンでの収録となります。
インドネシア歌謡をイメージしてアレンジを行ったと語られていますが、エスニックでありながら和の空気感も纏ったサウンドの作り込みは刮目に値する仕上がり。
2010年代に入り顕著となった、桑田さんなりの死生観が窺える歌詞のインパクトも強いものの、かつてほどのシリアスさは無く一周回って開き直ったような軽やかさが今アルバム収録曲ならではのタッチで非常に聴きやすいです。

6. ごめんね母さん

アルバムの一大テーマといえるデスクトップミュージックの方向性に導かれたような、宅録風のファンクナンバー。
終盤ではAIを活用した台詞も挿入され、まさかアラ古希のサザンがここまで現代的なアプローチに振り切ってくるとは…と驚いたものですが、今もなお進化を止めない現役バンドとしての意地が素敵です!
歌詞の尖りっぷりも然り、何度も聴いているとクセになりますね。

7. 風のタイムマシンにのって

恒例の原由子ボーカル曲。
松田聖子「青い珊瑚礁」を現代風にブラッシュアップしたような瑞々しいポップチューン。
2022年の原さんのソロアルバム『婦人の肖像』の系譜を引く、打ち込みによるアンチエイジング感が新鮮で歴代のサザン名義の原ボーカル曲の中でも屈指のキャッチ―さが見事です。
ひとたび聴けば過去の名曲群に負けず劣らず、湘南の情景が鮮やかに浮かんでくるのでこれはぜひ電車旅のお供としてお世話になりたいところ。

8. 史上最恐のモンスター

どことなく『KAMAKURA』辺りに収録されていそうな、アフリカンビートを強調した意欲作。
打ち込みと弘さんの生ドラムが混ざり合うさまは『さくら』での「(The Return of) 01MESSENGER ~電子狂の詩~」を彷彿とさせるこだわりがあって、社会風刺の切り口で描かれた歌詞も相まって聴き応えが抜群。
「ごめんね母さん」と同様、アルバム内では地味目でマニアックな曲という見方もされそうではありますが、裏を返せば長年のサザンファンにこそ刺さるナンバーだとも思います。

9. 夢の宇宙旅行

今作のリードトラック。
個人的にはアルバムで最も好きなナンバーです!
デヴィッド・ボウイ「Space Oddity」をモチーフにしつつ、数多くのブリティッシュロックへのリスペクトが滲み出たスペーシーなパワーポップ。
MVでもElectric Light Orchestraやキャプテン・ビーフハートをオマージュするなど、桑田さんのルーツである洋楽への愛情がたっぷりと詰まっていてワクワク感に満ちた1曲ですが、個人的には躍動感のあるピアノの使い方にMêlée「Stand Up」を想起させられましたね。
とにもかくにもキャッチーなメロディーが素晴らしく、今年はこの曲ばかりをリピートしそうな未来が見えます…
音楽の魔法が宿った最高の名曲!

10. 歌えニッポンの空

配信シングル。
爽やかなラテンテイストが心地よく、シングル曲ならではのインパクトこそ無いもののスーッと染み渡る風通しの良い音作りに魅了されます。
何よりも『茅ヶ崎ライブ2023』のライブビューイングを思い出し、溢れ来る懐かしさによってたまらない気持ちになります…

11. 悲しみはブギの彼方に

今アルバム最大の衝撃といえる、デビュー前からのストック曲を新規レコーディングしたトラック。
1stアルバム『熱い胸さわぎ』に収録される予定でしたが、Little Featへのオマージュという観点でテーマ被りしたことで「いとしのフィート」の代わりにお蔵入りした楽曲だそう。
さすがにこの曲の録音ではメンバー全員が揃い、シンプルでいて味わい深いサザンロックのテイストを心ゆくまで堪能できます。
デビュー当時を思わせる桑田さんのボーカルワークも冴えており、さほどメロディーラインが印象深い曲というわけではないもののとても耳に残ります。
久しぶりのロックバンド・サザンオールスターズ復活に感動!

12. ミツコとカンジ

前曲から曲間無しでメドレーのような仕掛けとなっていますが、こちらは新曲。
「悲しみはブギの彼方に」と同じタイミングでメンバー全員揃ってのレコーディングが行われ、楽曲のテイストも通ずるものがあるように思います。
The Band辺りを思わせる懐かしいアメリカンロックの風情に目が眩みそうになりますが、やはり関口さんのベースや毛ガニさんのパーカッションがあってこそサザンのグルーヴ感は成立することを強く感じましたね。
でなきゃ、もはやソロワークスと同義なのですよ。
次のアルバムが制作されるとしたら、今度こそこういった渋いバンドサウンド中心の音作りをお待ちしております…!

13. 神様からの贈り物

思わず胸がキュンとなる、60’sモータウンサウンドを基調とした極上のポップソング。
「夢の宇宙旅行」「風のタイムマシンにのって」、そしてこの曲をシングルカットしない辺りに、アルバムアーティストであるサザンの底力を改めて見せつけられた気がしますね。
わざわざCDをパッケージで購入し、曲順通りにアルバムを楽しむ醍醐味がそこにあります。
日本のエンターテインメントへの愛情と感謝が詰まったパーソナルなテーマ性のはずですが、ふいにリスナーの涙を誘うのはやはり我々にとってサザンが紛うことなき国民的大スターだからなんだろうなと実感します。

14. Relay~杜の詩

配信シングル。
アルバムを締め括るに相応しい、ゴスペルテイストの荘厳なアレンジに引き込まれる名バラードです。
思想や主張がどうこうではなく、対話することの大切さを考えさせられる歌詞が素晴らしく、人として社会生活を送る上での基本というべきメッセージ性に感嘆するほかありません。
これは当たり前のようでいて実は難しいことでもあるので、ふと我に返りこの曲を聴いていると身につまされます…。
慣れ親しんだ風景への感傷という意味では、MVのモチーフであるビートルズ「Strawberry Fields Forever」を思わせるところもあり、桑田さんに内在するジョンの魂に鳥肌が立ちますね。
改めて、最高のアルバムをありがとうございます!



というわけでアルバム収録の全14曲をたっぷりと語ってまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
待ちに待ったサザンの新たなアルバムを店頭で手に取り、自宅にて腰を据えてじっくりと味わう…この幸せに勝るものはありません。

またしても次の作品が楽しみになるくらい完成度が高く、この先のサザンオールスターズにも期待値が上がっていってしまいますが、年齢のこともあるためどうか無理なく活動を続けていっていただきたいですね。

それでは、今回もここまでご覧くださいましてありがとうございました!

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