ついにリリースされましたね!スピッツの17thアルバム『ひみつスタジオ』。
昨日フラゲしてきてからずっと聴き続けておりますが、これがとんでもなく素晴らしい作品でした。
この記事を書いた時点ではほぼファーストインプレッションなので参考にならないかもしれませんが、個人的にはスピッツの中でも屈指の大傑作だなと思いまして。
それはなぜなのだろうとずっと考えていたのですが、僕の中で前作と前々作がとても好きなアルバムで。
いずれもリアルタイムで耳にした作品なので思い出補正も多分にあるのですが、キャッチーで華やかな聴感の『醒めない』とロックバンドとしてのダイナミズムを強調したような『見っけ』…これらの美味しいとこ取りをしたアルバムが本作『ひみつスタジオ』だなと一聴して感じたんですよね。
それでいてデビュー30年オーバーのベテランバンドとは到底思えないほどの瑞々しい歌声とサウンド、さらには随所に新たな試みも見られ、新鮮な感覚をもリスナーに抱かせるという無双ぶり。
ここ数作と同様に割とコンパクトな構成ではあるのですが、Mr.Children『REFLECTION {Drip}』にも匹敵する濃密さと淀みなさを兼ね備えていて、さらに例えるならドラえもんの四次元ポケットさながらの無尽蔵っぷり。まさに “ひみつスタジオ” だなと。
近年はスピッツの根強い人気もますます確固たるものになった印象がありますが、特に今作はすべてのJ-POPファンに聴いていただきたい間口の広い名盤です。
藤子不二雄作品のように、どうか後世へと語り継がれていっておくれ。
前置きが長くなり恐縮ですが、この記事では『ひみつスタジオ』の全曲感想に加え、未収録となった既発シングルからの3曲「猫ちぐら」「祈りはきっと」「アケホノ」についても記したいと思います。
それではいざ、皆さまと共にスピッツワールドへ!
全曲感想
1. i-O(修理のうた)
温もりのあるハモンドオルガンが奏でる一音目からもう…泣けます。
優しい歌声と切ないメロディー。スピッツの放つド直球の名ポップスに耳を傾けると、この数年間 ─それこそ前作『見っけ』リリース直後に一変した世界─ の隔たりなど感じさせないような至福のひとときが僕らに手招きをしている。
1曲目が穏やかな曲調という点ではどことなく『さざなみCD』における「僕のギター」、『とげまる』での「ビギナー」を思い出すよね。
ちなみにタイトルの “i-O” とは、歌詞中に何度も登場する《愛を》を指します。
2. 跳べ
往年のパンクロックを想起させるような疾走感に溢れたナンバー。
こちらは編曲がスピッツ単独名義のセルフプロデュース曲であり、過去作でいう「春夏ロケット」や「悪役」辺りをより激しく、よりキャッチーに仕上げたような1曲。
後述する「めぐりめぐって」といい、今アルバムはセルフプロデュース作が断トツで素晴らしい!
あとタイトルから某チルドレンを連想する兼オタも多いと思うけれど、この間ヘンテコな夢を見たりおばあちゃんが出てきたり向かい風に乗って離陸はしません(?)
この曲に乗せ、初夏の青空に向かって跳びたいね!
3. 大好物
45thシングル(配信)。劇場版『きのう何食べた?』主題歌。
当時、上野のTOHOシネマズに映画を観に行きましたよ。とても心温まり、大切な人たちと美味しいご飯を食べたくなる名作でした。
僕の大学生活という意味でひとつのピークだった2021年の思い出が詰まった名曲です。

4. 美しい鰭
46thシングル。劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』主題歌。
久しぶりにシングル然としたシングル表題曲という印象で、キャッチーなサビメロと鮮やかなホーンの音色がインパクト抜群ですね。
何度聴いてもサビのファルセットが透明感に溢れていてたまらないです!
珍しくレスポールを抱えて歌うマサムネさんのビジュアルも新鮮です。
アルバムへの期待を高めるには充分すぎる、先行シングルのお手本のような曲だなと。
それでいて、シングル曲として耳にした時よりもアルバムの流れで聴く方が断然映えるというマジック。
5. さびしくなかった
これまた優しい雰囲気のメロディアスな楽曲。
なんだか聴いていて「ヘビーメロウ」を思い出しました。
心なしか今アルバム、歌詞のあたたかみと切なさが尋常ではないような…ふと気を抜いたら涙が溢れそうになります。
6. オバケのロックバンド
なんとデビュー32年目にして、メンバー全員でボーカルを取った歴史的な(?)1曲。
制作時にはSMAPのようなイメージがあったようで、歌詞も然り往年のアイドルソングを彷彿とさせます。
ワクワク感を覚える曲調に加えてサウンドも尖っていてとてもカッコよく、Twitterでフォロワーさんがスピッツ版「FIVE ROCK SHOW」(※サザンオールスターズ) と評されていたのが実に言い得て妙でした。
マサムネさん以外のボーカルパートは、﨑山さん→田村さん→三輪さんの順で合っているかな?
果たしてライブではどんな風に化けるのか…!
7. 手鞠
ここまでの流れを落ち着けるシンプルなミディアムナンバー。
今アルバムの中では比較的地味なイメージも否めないところですが、一貫してメロディーが良いですね。
8. 未来未来
ゲストボーカル(ほぼコーラス)に朝倉さやを招いたファンクチューン。
過去にも「ハチの針」などでこういう曲調にトライしていましたが、朝倉さんによる民謡風のコーラスがかなり独特な世界観を演出していますw(Led Zeppelin「Immigrant Song」を思い出しますね)
アイリッシュな「野生のポルカ」、フォルクローレっぽい「まがった僕のしっぽ」に続くスピッツの民謡的アプローチも近年のブームなんですかね。
今作の中では最もアルバム曲らしいアルバム曲だけれど、とても味があって良いです!
9. 紫の夜を越えて
44thシングル(配信)。
コロナ禍を歌ったシリアスな楽曲で、個人的に2021年のNEW MIKKEツアーで聴いていちばん感動した曲のひとつでした。
「大好物」「美しい鰭」も然り、アルバムの曲順で聴くと尚のこと素晴らしいですね。
10. Sandie
一転して明るいトーンのマーチ。
前年のファンクラブ限定ツアーにて先行披露されていたようです。
聴いていて不意に、Monkees「Daydream Believer」を思い出したのは僕だけですかね?
トランペットや間奏のギターソロなど、『空の飛び方』辺りに入っていそうなアレンジが素敵。
陽だまりの中、夢見心地な気分でじっくり浸りたい佳曲です。
11. ときめきpart1
映画『水は海に向かって流れる』主題歌。アルバムのリードトラックです。
それにしても今アルバム、映画のタイアップがめちゃくちゃ多いな…。
バイオリンの上品な音色と今作屈指の美メロが心深くに沁み渡る大名曲です。
これは先日『CDTV ライブ!ライブ!』で初めて聴いた時からグッと心を掴まれましたね。
相容れないはずの多幸感と切なさが同居していて、とても泣けるんだよな…
あと、歌詞に登場する「Stand by Me」はベン・E・キングによる世界的名曲のことかな?
12. 讃歌
過去曲でいう「砂漠の花」などを思わせる実直な歌モノ曲。
淡いアルペジオと骨太なリズム隊がこの曲の重厚な雰囲気に一役買っています。
視界が開けていくような終盤のラララ…コーラスもとても素敵ですね。
楽曲の持つ透明感はアルバム内でも随一といっていいかも。
13. めぐりめぐって
濃密なアルバムの締め括りを担うのは勢い溢れるビートロック。
《秘密のスタジオ》というフレーズが登場するので実質的な表題曲でしょうか。
こちらもセルフプロデュースで、全体を通して剥き出しのバンドサウンドが生々しく響き渡る仕上がりに。
「まがった僕のしっぽ」を思わせる複数回の転調にもとても痺れます…。
﨑山さんの冒頭のカウントといい、ライブがとても楽しみになりますね。
「醒めない」「ヤマブキ」などと同様に、バンドのアティチュードを反映した所信表明的な歌詞もグッときます。
記事冒頭の話題に逆戻りしますが、これで『ドラえもん』の主題歌をやってほしいな…
extra. 猫ちぐら
アルバム未収録となった43rdシングル(配信)。
2020年初夏、コロナ禍の自粛期間中にメンバーのみでリモート制作したため、亀田誠治氏が関与していないセルフプロデュース曲となります。
明確なサビが無いこともあり “地味” な印象を持たれてしまった作品かと思われますが、個人的には味わい深さや哀愁が感じられてとても好きですね。
extra. 祈りはきっと
46thシングル『美しい鰭』C/W。
割と淡々とした曲調ではありますが、アコースティックなバンドサウンドの瑞々しさや透明感に溢れたメロディーなど、C/Wオンリーでは勿体ないような良作です。
extra. アケホノ
46thシングル『美しい鰭』C/W。
これめちゃくちゃ好きなんだよな。哀愁を帯びたスピッツらしいポップチューンで、これだけでもアルバムに入れてほしかったなと思うほど…!
いいもん、Spotifyのプレイリストでアルバムの最後に未収録曲を丸ごとくっつけて聴くもん!


