荒井由実の1stアルバム『ひこうき雲』の感想記事です。
収録曲
- ひこうき雲
- 曇り空
- 恋のスーパー・パラシューター
- 空と海の輝きに向けて
- きっと言える
- ベルベット・イースター
- 紙ヒコーキ
- 雨の街を
- 返事はいらない
- そのまま
- ひこうき雲 (short version)
基本情報
▪1973年11月20日発売 (LP)
76年にCT化、83,87,89,93,94,98,00,13年にCD再発
▪東芝EMI (現EMI RECORDS)
▪最高9位
豪華な布陣で制作された初のアルバム
言わずと知れたユーミンの1stアルバム。
72年7月にシングル「返事はいらない」でデビューしたのち、翌73年にシングル「きっと言える」、直後に初のアルバムとして今作がリリースされました。
今作のレコーディングはキャラメル・ママというバンド編成で行われ、荒井由実(ボーカル&ピアノ)、細野晴臣(ベース)、松任谷正隆(キーボード)、鈴木茂(ギター)、林立夫(ドラムス)の5名で構成されています。
そこにフルートやテナーなどといった装飾音をサポートミュージシャンが適宜加わる形で録音されました。
才能溢れる1st
これまで日本のポップス史に数々の金字塔を打ち立ててきたユーミンの歴史の幕開けというべき1作がこの『ひこうき雲』。
2012年のオールタイムベスト『日本の恋と、ユーミンと。』に収録され、翌2013年のジブリ映画『風立ちぬ』主題歌にも起用されたことで近年ますます有名になった「ひこうき雲」を大きくフィーチャーしたアルバムですが、この曲はなんと2ndシングル「きっと言える」のB面。
各楽曲ではプロコル・ハルムからの影響を強く感じる「ひこうき雲」が特に名曲としての風格があって、頭一つ抜きん出ているなという感想にはなるのですが、年月を経て繰り返し聴いていくと大半の楽曲がスタンダード化するほど馴染んできました。
どの曲も、初めて聴いた中学生時代(2013年頃)には感じ得なかった感傷的な気分とともに心に深く染み渡ります。
比較的ポップな「恋のスーパー・パラシューター」なんかは当初から好きでしたが、「空と海の輝きに向けて」や「ベルベット・イースター」、「雨の街を」のゆったりとした心地良さに酔いしれるようになったのは割と最近のこと。
荒井時代全般に言えることですが、サウンド的にはかなりシンプルで音数が少なく、今作もかなりコンパクトな上に落ち着いた雰囲気のアルバムです。
これは確かに中学時代の僕には早すぎた気もしなくはないですが、ユーミンは今作を19歳で作り上げているし、当時から熱心なリスナーだった母と伯母も当時の僕くらいの年齢で今作を愛聴しているので、時代の違いも多分にあるんでしょうか。
それでも今作は非常に味わい深いし、歳を重ねる毎にその本質が分かってくるような何ともいえない情緒に溢れた名盤だと思います。
心地良いメロディーラインが情感を誘うユーミンらしさも既に健在ですし、地に足の着いた貫禄すら感じられる歌詞にしても、これから歳を重ねるにつれてますますその魅力に浸っていけそうです。


